『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(以下『超力兵団』)のような、「大日本帝国時代の日本」を舞台とするゲーム(ここでは、日本国内で発売された家庭用ゲーム機のソフトに限る)は、「戦争シミュレーションゲーム」、「歴史ゲーム」、「アドベンチャーゲーム(恋愛もの、推理ものなど)」、「シューティングゲーム」、「戦闘機シミュレーター」などではそれなりに存在する。しかし「RPG」というジャンルでは非常に珍しい。
日本のRPGといえば、大半は「ファンタジー世界」、「SF世界」、「現代日本」、「近未来日本」、「江戸時代または戦国時代など、大日本帝国時代より昔の日本」が舞台である。圧倒的に多いのは「ファンタジー世界」であろう。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』、『シャイニングフォース』もそうだし。そう考えると『超力兵団』は、家庭用ゲーム機のRPGでは非常に稀な世界観を持つものである。
大日本帝国を舞台とした場合、他のものと比較すると、どうしても「製作者の歴史観」がもろに出てきてしまう傾向にある。それが問題とされるケースもあると思う。特に歴史修正(改竄)主義の右翼っぽい人が作った場合。『超力兵団』の歴史観にはかなり問題がある、と私は考えている。
RPGは人気のあるジャンルなので、メーカーはそのようなクレームが来るリスクは避けるのだろう。戦争ゲームのような至極マニアックなものなら、買う人は少ないので特別に問題視されない場合もあるだろうが、プレイヤー人口の多いRPGではどうだろう…。それ故、日本のRPGには「もろに製作者の歴史観が出てこない」世界観のものが多いと考えられるが。