何度もリンクを貼っているのだが、本家「ろーだいありー」の記事。
この中で、「『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(以下『超力兵団』)の第拾話で、ライドウの上司・鳴海(探偵の男で、「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス)に協力している。元は日本軍の陸軍に所属していたらしいが、色々あって失望して軍を去ったという)が、天皇批判をしないのはなぜだ」といったことを書いた。これに関してもう少し掘り下げようと思う。
この記事でも少し触れたが、そもそも「鳴海の設定自体が矛盾している」としか思えない。「日本軍に所属していたが、色々なことを知ったために軍に失望し、結局軍を去っていった」過去と、「天皇崇拝団体であるヤタガラスに協力している」現在というのは、相当無理のある設定であろう。なぜなら、『超力兵団』の舞台である「1931年の大日本帝国」においては、「天皇*1は、日本軍の大元帥」なのだから*2、「軍に失望した者が、天皇崇拝のヤタガラスに協力するとは考えられない」のである。
そして、軍に居たのであれば、たとえ「海軍しか指揮していない天皇」であっても、「軍の大元帥である天皇を『神聖なもの』として崇拝する思想こそが、戦争を引き起こすのだ」、という事実ぐらいは分かるだろう。そうなれば、天皇とヤタガラスも批判するようになるはずだが、鳴海は一切そのようなことは言わないのだった。これは、どう考えても「右翼から抗議されることを恐れたから」としか思えないが。
この時代では「不敬罪」があるため、公の場で天皇批判などは怖ろしくて出来ないのは事実である。だが、第拾話では鳴海は地下深くに潜入している。そして、ライドウ(と、元は人間だったらしいネコのゴウト)しか居なければ、天皇批判も出来ると思うけど。実際、史実ではこの時代でも、密かに天皇批判をする庶民は多く居たと聞く。戦前が舞台といっても、所詮はゲームなのだから、天皇制の問題などを大人が説く場面があってもいいと思うが、そういうのは無い。右翼を恐れて出来なかったか、元々右翼っぽい人が作っているのか、のどちらかかも知れない。
もうひとつ言うと、史実と異なり、「天皇は海軍しか指揮していない」というのも、かなり無理のある設定だと思っている。
参考文献
- デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
- 戦前ホンネ発言大全第1巻 落書き・ビラ・投書・怪文書で見る 戦前不敬発言大全 反天皇制・反皇室・反ヒロヒト的言説(高井ホアン著/合同会社パブリブ)