『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(以下『超力兵団』)の、第七話の問題については、本家「ろーだいありー」の「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」シリーズを参照して欲しいが、さらにもう少し書いておきたい。
よく考えると、この第七話のおぞましさ・怖ろしさは、「ディープなメガテニスト」で、なおかつ「左派」、「天皇嫌い」、「天皇制反対の人(天皇制廃止論者とも言う)」、「天皇制というものに疑問を感じる人」のどれかでないと分からないのだろう。私は別に左派でも、天皇制廃止論者でもないが、天皇制というものに疑問は持っているし、天皇の戦争責任についても研究している。
では「第七話のおぞましさが分かるのはディープなメガテニストだけ」というのはなぜか。それは、「たとえゲーム中には出てこなくとも、このゲームの世界観では、本来は架空の存在であるアマテラス(皇祖神とされる)も、ニニギノミコトも、神武天皇も実在したことになってしまう」と悟ることが出来るのは、『メガテン』の世界観に相当詳しい者だけだからだ(無論私もそういうタイプである)。そしてさらに「天皇嫌い」も併せ持った人であれば、第七話を見て「この第七話は、『天皇はアマテラスの子孫で、神である』という右翼の作り話は、実は正しかったと主張する意図で作ったのか? 『神である天皇を護らなければ日本が滅びる』、なんて作り話も、本当だと言いたいのか? こんな話は『メガテン』で使うべきではない」といった不快感を抱くであろうことは想像できる。それについては、製作者は予測できなかったのか?
いや、予測できなかったというよりは、『超力兵団』のシナリオライターは『メガテン』シリーズの世界観には、実はそんなに詳しくない…、という可能性も否定出来ないのだ(第拾弐話が、明らかに「他のメガテンシリーズと無理やり繋げようとして矛盾だらけになっている」という点も考えると…)。詳しくないから、「どうせアマテラスは今回出てこないし、深読みする人もそんなに居ないだろうから、『天皇を救え』という話を入れても、特に文句は言われないだろうから、問題無い」と考えたのかも知れない。しかし、もしそういう認識だとしたら、甘いと思う。ディープなメガテニストには見破られてしまうのだ。