悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏

「ろーだいありー」の「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」の外伝ブログです。主にPS2ソフト『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』のことを書いています。

もっと深い「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」第一回目

シリーズ記事 もっと深い「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」

第一回目・「超國家機関ヤタガラス」が味方であることの問題点・其の壱

はじめに

※このブログは、『女神転生(メガテン)』ファンの個人による非営利ブログであり、発売元のゲームメーカー様とは一切関わりありません。予めご了承ください。

 

このシリーズ記事は、本家の「ろーだいありー」にて連載中の「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」をテキストとして、さらに深く掘り下げるための記事である。

「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」とは、アトラスのプレイステーション2ソフト『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(以下『超力兵団』)に登場する架空の組織「超國家機関ヤタガラス」を徹底的に批判することと、『超力兵団』の問題点を解説するためのシリーズ記事である。詳しくは以下のリンクを参照。

 

「ヤタガラスはなぜ怖ろしいのか」シリーズのリンク集 - ろーだいありー

シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第九回目 - ろーだいありー

 

※以下、ゲームのネタバレも含まれるので注意。

 

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『超力兵団』の概要

今回は「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」シリーズのいくつかをテキストとして、『超力兵団』の問題点をさらに深く掘り下げてみたい。この『超力兵団』の詳しい概要は本家を参照して欲しいが、とりあえずこのゲームの内容を簡単に説明しておく。

 

このゲームは『女神転生』(以下『メガテン』)という、アトラスの人気シリーズの一つ。『メガテン』とは、一言で言えば「悪魔を仲魔(仲間)として行使し、さらに『悪魔合体』でより強力な悪魔を創ることも出来るRPG」である。このゲームにもそのシステムは受け継がれている。

『超力兵団』の舞台は、1931年の「大日本帝国」であるが、元号が「大正20年」というありえないものになっているため、史実とは異なる「架空の日本」である。史実では1931年は「昭和6年」となる。つまり、『超力兵団』の日本では「大正天皇がまだ存命である」ことになる…(これは非常に重要なので、覚えておいて欲しい)。

主人公は「葛葉ライドウ」という「デビルサマナー」の少年(「ライドウ」は通称、本名はプレイヤーが付ける)。デビルサマナーとは「悪魔召喚師」のことで、悪魔を仲魔として行使する職業。彼は「ゴウト」(業斗童子)という「喋る黒猫」を相棒とする。

『メガテン』では珍しく「戦闘シーンはアクション」*1である。なお、流血描写があるので苦手な人は要注意(対象年齢は15歳以上、「グロテスクな表現が含まれる」の注意喚起あり)。

そしてもっとも重要なのは、ライドウの味方をしている組織「超國家機関ヤタガラス」(以下「ヤタガラス」)なる存在のことだ。詳しくは後述するが、「『メガテン』というゲームで、1931年の日本を舞台とし、このヤタガラスが味方である」ことが非常に問題なのである。

 

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『メガテン』とは? そして『超力兵団』が『メガテン』であることの意味とは?

次に、『メガテン』とはどういうコンセプトのゲームか、を簡単に説明しておく(メガテニストには常識であろうが、あまり詳しくない人のために書いておく)。

先ほども書いたように、『メガテン』とは「悪魔*2を仲魔(仲間)にして行使出来る。さらに悪魔合体で強力な悪魔を創ることが可能」というのがコンセプトのRPGである。つまり、『メガテン』においては「神、悪魔、天使、妖怪、妖精といった、現実には存在しないと考えられる者たち*3が実在している」ことになる。さらに言うと、「本来は作り話であろう、各国に伝わる『神話』」も、『メガテン』においては「現実に起きたこと」になってしまう。

これを『超力兵団』の世界観(1931年の日本)に当てはめると、こういうことになる。

このゲームの世界では、実際は単なる作り話である*4『古事記』が現実になっているのだ。実際、このゲームには「ナガスネヒコ(長髄彦)」*5など、『古事記』由来の神々が登場する。しかもナガスネヒコは敵キャラクター(ボス)である。

とすると、『古事記』に描かれている「イザナキ・イザナミの日本創世」、「天岩戸伝説」、「皇祖神・アマテラスの子孫であるニニギノミコトの天孫降臨」、「建国神話」、「神の子孫とされる神武天皇*6の東武遠征」も、「このゲーム上では実際に起きたこと」として扱われるわけだ。『超力兵団』においては、「イザナキ・イザナミ・アマテラス・ニニギノミコト・神武天皇」などは出てこないのだが、「このゲームは『メガテン』だから、恐らくは実在したことになるのだろう」と分かってしまう。

 

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超國家機関ヤタガラスとは?

では、『超力兵団』に登場する組織「ヤタガラス」とは何か、を簡単に説明する。

「ヤタガラス」とは「古くから日本を霊的な力で守護・支配している組織」であり、「デビルサマナーを束ねている」とされる。ライドウもこの組織の配下である。しかし、その実態や目的は謎に包まれている、という。本来の「八咫烏(ヤタガラス)」は、『古事記』に登場する烏(三本足と言われている)のことで、「神武天皇を導いた烏」と言われる。

しかしこの「ヤタガラス」は、はっきり言ってしまえば現実の日本にかつて存在した国教「国家神道」がモデルである。なぜそれと分かるのか、については本家を参照のこと。

国家神道とは、簡単に言えば「神道をベースとして、『天皇を現人神として崇拝する』宗教」で、戦前、戦中の日本ではこれを国家が強引に国民(臣民)に信じさせていた*7。日本が「天皇の名の下に八紘一宇*8を達成するため」に、近隣国に対する侵略戦争を引き起こし、さらにアジア・太平洋戦争も引き起こし、臣民も戦争に協力し、最終的には戦争に負けて「大日本帝国」が滅びた原因も、元をたどればこの国家神道であると私は考えている。そして国家神道は、今でも時々話題になる「教育勅語」の原点とも言えるものだ。

そして私は、「ヤタガラスは天皇崇拝の極右集団である」と断じる。

 

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ヤタガラスが味方であることのどこが問題か

だいたいお分かりであろうが、『超力兵団』の世界は『古事記』が現実となっているわけで、「天皇は神の子孫である」なんていう作り話が「本当だ」ということになってしまう。別にゲーム上ではそんなことは語られてはいないが、日本の歴史と『メガテン』に詳しければ分かるだろう。その上で、「ヤタガラス」が味方だとどうなるのか。これには様々な問題があるが、今回はそのうちの一つを記しておこう。

『超力兵団』の第七話「呪われた探偵」は、ヤタガラスから「大正天皇*9を救え」と命じられ、逆らうことが出来ない話なのだが*10これにどういう意味があるのか、をよく考えてみるがいい!*11

つまり、端的に言えば「イザナキとイザナミ、そして皇祖神アマテラスの子孫である現人神を必ずやお救いせよ、救わねば天皇制国家が崩壊して日本が滅びてしまう」と言われているようなものだ。これなんて、ほとんど天皇崇拝者と右翼・極右・ネット右翼がよく言うことではないか? 現実では、天皇を救わなくても、天皇制が無くなっても日本は滅びたりしないが、このゲームでは本当に滅びてしまいそうなのも大問題であろう。

そんな内容のゲームを、2006年という時代に出すのは、非常に危ういことだと私は思っている。さらに言うなら、今の時代には決して復刻などはしないで欲しいと強く願っている。

その理由はこちらを参照。

 

『超力兵団』を復刻しないで欲しいのは「自分にとって不快な表現をやめさせたい」からではなく… - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏

アトラス社に意見を送ってみた - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏

『メガテン3マニアクス(ライドウ出演版)』だけ切り離して売るのはどういう意味があるのか? - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏

『メガテン3』のリマスター版が出る、だと…? - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏

 

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おわりに

今回は、「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」シリーズをテキストとして、『超力兵団』の概要と、「ヤタガラス」の簡単な解説をして、「ヤタガラスが味方であることの問題点」のうちの一つを書いてみた。次回は、また別の問題点をもっと掘り下げていく予定だ。

ではまた。

 

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参照ゲームソフト

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王(プレイステーション2/発売元・アトラス)

参考文献

  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 公式ガイドブック(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
  • 古事記 上・中・下(次田真幸全訳注/講談社学術文庫)
  • 現代語訳 古事記(福永武彦訳/河出文庫)
  • 日本の神様 読み解き事典(川口謙二著/柏書房)
  • …こどもがききました 日本は朝鮮になにをしたの シリーズいま伝えたい1 朝鮮侵略(映画「侵略」上映委員会編/明石書店)
  • …こどもがききました 日本は中国になにをしたの シリーズいま伝えたい2 中国侵略(映画「侵略」上映委員会編/明石書店)
  • 大正天皇(原武史著/朝日文庫)
  • 日本史リブレット 民衆宗教と国家神道(小澤浩著/山川出版社)
  • 日本近現代史を読む(宮地正人監修・大日方純夫・山田朗・山田敬男・吉田裕著/新日本出版社)
  • 教育勅語を読んだことのないあなたへ なぜ何度も話題になるのか(佐藤広美+藤森毅著/新日本出版社)
  • 教育勅語の何が問題か(教育史学会編/岩波ブックレット)
  • 徹底検証 教育勅語と日本社会 いま、歴史から考える(岩波書店編集部編/岩波書店)
  • 国家神道と日本人(島薗進著/岩波新書)
  • ヤタガラスの正体 神の使い「八咫烏」に隠された古代史の真実(関裕二著/廣済堂新書)
  • これならわかる 天皇の歴史(歴史教育協議会編・岩本努・駒田和幸・渡辺賢二著/大月書店)
  • 戦前ホンネ発言大全第1巻 落書き・ビラ・投書・怪文書で見る 戦前不敬発言大全 反天皇制・反皇室・反ヒロヒト的言説(高井ホアン著/合同会社パブリブ)
  • これからの天皇制と道徳教育を考える 過去の歴史を直視し、日本国憲法を根っこに据えて(岩本努・丸山重威著/あけび書房)
  • マンガ 日本人と天皇 新装増補版(雁屋哲作・シュガー佐藤画/いそっぷ社)
  • [増補版]戦前回帰 「大日本病」の再発(山崎雅弘著/朝日文庫)
  • 皇室タブー(篠田博之著/創出版)

 

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*1:他社の人気作『テイルズ』シリーズを彷彿とさせる

*2:「悪魔」と一口に言っても、「神」、「天使」、「妖怪」などもまとめてこう呼ばれる

*3:もし居るとしても普通の人間には見ることの出来ない者たち

*4:『古事記』の一部は本当かも知れないが、「天皇家に都合よく書かれた政治的な書物」であることには注意するべき

*5:「神武天皇」に倒されたとされる豪族の一人

*6:初代天皇とされるが、架空の人物と考えられている

*7:日本の植民地とされた国の人々にも天皇崇拝を強要した

*8:簡単に言うと「アジアをすべて日本にする」こと

*9:実際には「天皇」とか「陛下」とは呼ばれないが、そうとしか思えない人物

*10:詳しくは本家を参照

*11:第七話に関しては本家でも詳しく書いたが、もっと書きたいことがあるためこのシリーズでもいずれ書こう