以前の記事。
『メガテン3』のリマスター版が出る、だと…? - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏
『メガテン3マニアクス(ライドウ出演版)』だけ切り離して売るのはどういう意味があるのか? - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏
この中で、葛葉ライドウがゲスト出演している『真・女神転生3ノクターンマニアクス・クロニクルエディション』(アトラスのプレイステーション2ソフト。以下『メガテン3特別版』)がリマスター化されるそうだが、ライドウが主演の『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(アトラスのプレイステーション2ソフト。以下『超力兵団』)と続編『デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 』(これもアトラスのプレイステーション2ソフト。以下『アバドン王』)は復刻しないで欲しいと書いたが、もう少し続けよう。
それにしても、前も書いたがやはり気になるのは、なぜ元々限定版『アバドン王+』に同梱の、言わば「おまけソフト」だったものだけ切り離して売ることにしたのか、ということなのだが…(人によっては『メガテン3特別版』の方が本体なのかも知れないが)。どうせ『メガテン3特別版』をリマスター化するのなら、本体である『アバドン王』や前作もセットにして復刻しそうなものだけど。「おまけのソフトだけ復刻して切り売りする、本体だったソフトは無し」というのも、テレビゲームソフトとしては非常に珍しいのでは。
以前の記事で、「私の勝手な憶測だが、『葛葉ライドウ』シリーズは復刻等は無理だから、これで我慢してね」という意味ではないか(そうあるように願う次第だ)、といったことを書いたが、実は本当にそういうことだったりして…、と。何度も書くがやはり『葛葉ライドウ』シリーズは今の時代に決して復刻などすべきではない(特に『超力兵団』には重大な問題があるため、余計そう思う)、と私は訴えたい。詳しい理由は上の二つの記事を参照。
それで、もう一つ書いておきたいことがある。
古いマンガや文学の復刻版などには、よく巻末に注意書きとして「この作品には差別表現など、現在では不適切な表現が含まれますが、発表当時のまま復刻しました。ご了承ください」みたいなことが書いてあったりする(古い映画やドラマのDVDなどの冒頭にも出てくる)。これ自体は別に良いとして(やはり古いものは当時のまま復刻するべきだと思う。ただし例外はある)、もしもの話をしよう。
もしも…、もしもだが、アトラス社内で『超力兵団』を「当時のままリマスター化して復刻しよう」という企画を思いついて、それを通そうとしたが「天皇崇拝の団体・超國家機関ヤタガラス(以下「ヤタガラス」)が味方であること、天皇を救う話、古代韓国に関わる『伽耶』という名の少女と戦う話などは、ネット右翼と歴史修正(改竄)主義、嫌韓が広まる現在では若者には不適切だから、出すわけにはいかない」と上層部から意見が付いたとする。その場合、広告やアトラスのホームページなどに「このゲームは、ほぼ2006年発売当時のまま復刻しています。このゲームでは、天皇を守護する組織が味方として出てきたり、大正天皇を救わないといけない話があったり、伽耶という韓国に関わる名を持つ少女と戦うなど、現代では不適切と思われる表現が多く含まれますが、決して『歴史修正主義の肯定』や、天皇崇拝・日本の戦争・植民地主義を美化する目的で作ったものでも、天皇制を快く思わない方々を傷つける目的で作ったものでも、韓国を批判したり在日韓国人の皆様を傷つける目的で作った作品でもありません。その辺りをご理解の上ご購入をお願いします。このような作品を好まない方のご購入はお控えください」などと書けばいいのではないか、と思うのかも知れないが(まあこれではストーリーのネタバレになってしまうので、書くわけないよな…)、そうはいかないだろうと私は思っている。
そもそも『超力兵団』(及び続編)の問題は、ただ「現在では不適切な表現が含まれますが、発表当時の状況を鑑みて、そのまま復刻します」と注意書きを書いておけば済むような問題ではなく、もっと深刻なものだ。「天皇崇拝の『ヤタガラス』が最後まで味方である」という、そのコンセプトそのものが大問題なのだと私は考えている。
その理由は本家「ろーだいありー」の「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」シリーズと、こちらの記事を参照。
もっと深い「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」第一回目 - 悪魔ハンター桐嶋ローダVS八咫烏
読むのが面倒な人のために、「ヤタガラス」が味方なのがなぜ問題か、をとりあえず簡潔に説明する。
普段意識しない日本人は多いのだが(皇室ファンも多く居るのが現実…)、そもそも天皇制は差別制度だし(身分差別・女性差別などいろいろな問題がある)、昭和天皇には重大な戦争責任と、近隣国を植民地支配したことの責任があるし、かつて日本に侵略された国の人たち(在日韓国人・在日中国人も含めて)にとっては天皇・天皇制は嫌なものだろうし(その象徴たる日の丸・君が代なども含めて)、日本には皇室・天皇制を嫌う人も「天皇制は廃止せよ」と訴える人たちも居る現実がある、ということを念頭に置くべきだ。
その上で『超力兵団』を見ると、「天皇を崇拝しているとしか思えないヤタガラスが味方なのは、差別を助長したり、天皇崇拝と戦争・植民地主義を美化し、歴史修正を促して若者に悪影響を与えたり、プレイヤーを右傾化させたり、在日の人たちと天皇制反対の人たちを怒らせるのではないか」という懸念があるのだ。
もしも『超力兵団』を復刻するのならば、「ライドウは天皇崇拝のヤタガラスの配下である」という基本設定そのものを変更しなければダメだろう(天皇を救う話も削除すべきだし、他にも削除するべきシーンは多い)! さらに「最終ボスと共闘し、ヤタガラスを滅ぼして戦争や差別を無くす」話にしないといけないだろう(右翼から襲撃されそうだから無理だろうが)。そうなると、もはや復刻ではなくリメイクなのだが。
もちろん、私は『葛葉ライドウ』シリーズの復活(復刻・リメイク・配信・映像化・三作目など全てを含む)に猛反対し続ける! 『デビルサマナー葛葉ライドウ対超國家機関ヤタガラス』であれば別だけど。