今日は「長崎原爆の日」なのであった。去年の同じ日にはこんなことを書いていた。
kirishimaloda6915.hatenablog.com
とりあえず今回は、朝日新聞の記事でも貼っておこう。
しかし、最近の朝日はどうなのかねぇ…。昔はそれなりに良かったと思うのだが(かつては読者だった。今は別の新聞…ただし産経でも読売でも赤旗でもない)。現在は、ネット右翼からはバッシングの対象にされるが、しかし反ネット右翼の立場から見てもどうも…。そうそう、朴裕河の『帝国の慰安婦』の翻訳も朝日新聞出版から出ていたのだったな。色々問題の多い本なのだが…。こちらに批評を書いたので参照。
で、ちょっと早いんだが、今日は「終戦の日」にちなんだ話をしようと思う。
今から五年前の終戦の日に発表された「安倍談話」がある。
今までこれについて触れたことは無かったが、最近ちょっと気になったので書いておく。
この中で安倍首相は「戦争には関わらない子孫に謝罪し続ける宿命を負わせたくない…」といった旨のことを言ってるわけだが、『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2ソフト。以下『超力兵団』)に出てくるセリフに、これと似たようなものがある。
本家「ろーだいありー」の「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」第八回目でも紹介したが、『超力兵団』の第拾話は「宗像」という陸軍軍人と対決する話である。しかしこの宗像は、実は「スクナヒコナ」なる「国津神」に憑依されていた。スクナヒコナは、かつて「天津神」(このゲームでは『古事記』が現実化しているため、本当に「天皇の祖先」ということになる…)に倒された恨みを晴らすため、天皇崇拝の「超國家機関ヤタガラス」(ライドウの味方をしている組織。以下ヤタガラス)と、天津の子孫が住む帝都を滅ぼそうとしていたのだった。
この第拾話で、スクナヒコナと鳴海(ライドウの上司である探偵の男)の間でこのような会話を見られる(読みやすいように一部句読点を足して、一部読み仮名を付けたが、基本は原文のまま。重要と思った部分は太字にした)。
スクナヒコナ「帝都百万の民の死滅…、それが超力超神に与えし命。全ての民が罪を噛締(かみし)めながら、悶え、そして死ぬのだ!」
鳴海「…馬鹿な、何千年もの昔の恨みなんて、今の俺たちには関係ねぇだろ!」
スクナヒコナ「ヤツらの末裔である事…、産まれ落ちた事が罪なのだ!」
鳴海「そんなムチャな…」
スクナヒコナ「貴様らにはわかるまい。虐(しいた)げられし者の心なぞ…。帝都破壊の前に、貴様らを血祭りに上げてくれる!」
この会話の問題点は「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」第八回目で詳しく解説したのでそちらを参照して欲しいが、このやりとりと「安倍談話」の一部は妙に似ていることにも最近気づいた。
つまり、安倍首相が言いたいことと、鳴海が言いたいことは何となく似ている、ということだ。安倍首相も結局は鳴海と同じで「何十年もの昔の、韓国人や中国人などの恨みなんて、今の私たちと子孫には関係ないだろう!」と主張したいのでは。しかし加害者の子孫はそう思っていたとしても、被害者の子孫が忘れるはずが無いので、韓国や中国などが「かつて我が国を侵略した日本人の子孫として生まれた以上、その罪は背負っていかなければならない。誠実な謝罪と補償を求める」と何度も日本政府に言うのは当然のことであろう。だが政府がきちんと対応してこなかったために(今も誠実に対応していないどころか、安倍首相自らが歴史修正しているし…)「これからも子孫が謝罪し続けなければならない」ことになってしまう。
それにしても、現在の「歴史修正(改竄)主義」の広まりと「日韓関係の悪化」は、やはり憂えなければならないのだろうなぁ…。最近読んだ『日韓の歴史問題をどう読み解くか 徴用工・日本軍「慰安婦」・植民地支配』という本の105ページに「歴史修正主義は2010年代に民衆的に広まった」といったことが書かれている。無論、歴史修正(改竄)主義はそれ以前からあったが(特に「日本軍『慰安婦』問題」が注目されるようになった1990年代頃から目立つようになったのかも…)、特に広く世間に浸透し始めたのは2010年代になってからなのか…。
そう考えると、『超力兵団』が出たのは2006年だから(続編は2008年発売)、歴史修正(改竄)主義はそれ以降に広く浸透した…、現在はさらに若者層・オタク層にもそれが浸透しているように思える…、と考えると、今の状況で天皇崇拝のヤタガラスを味方とする内容の『超力兵団』を復刻することは、非常にリスクが大きいと言わざるを得ない(若者への影響力を鑑みれば…)。だからこそ何度でも言うが『超力兵団』と続編は復刻すべきではないし、『葛葉ライドウ』シリーズはこの二作で打ち切りとすべきだろうと私は思っている(念のため何度でも言うが『メガテン』とライドウは好きだ)。
なお念のために書くが、私が言いたいのは『葛葉ライドウ』シリーズは「ライドウが、天皇崇拝のヤタガラスを裏切って戦うような話」でない限りは(右翼が怒るからそんなのは出せないだろうけど)今の時代には合わないから封印して欲しいということであって、決して『メガテン』シリーズそのものと『デビルサマナー』シリーズを封印して欲しいと言っているわけではない。「舞台が戦前日本ではなく現代日本か近未来で、ライドウが主演ではなく、ヤタガラスも存在しない」内容ならば、『デビルサマナー』と名が付くシリーズは出しても構わないと考えている。ちなみに『デビルサマナー』シリーズも今年で二十五周年なのか…。
こちらも参照。
シリーズ記事「『超國家機関ヤタガラス』はなぜ怖ろしいのか?」・第八回目 - ろーだいありー
…それとついでに非常にどうでもいいことを書くが、さっきパソコンで検索したり他の人のブログを見てたら、またも『真・女神転生3ノクターン HDリマスター』(PS4、Nintendo Switch)の広告…、しかもライドウも描かれているバージョンが三回も出てきたのは、何の因果なんだ…。ライドウ…(前に書いたように私は「オーケン」と呼んだりするが)、私は君のことは好きだが、頼むから私の心をかき乱さないでくれよ!
参照ゲームソフト
- デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(プレイステーション2/発売元・アトラス)
- デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王(プレイステーション2/発売元・アトラス)
参考文献
- デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
- デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
- デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 公式ガイドブック(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
- デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王 超公式完全本(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
- 日韓の歴史問題をどう読み解くか 徴用工・日本軍「慰安婦」・植民地支配(内海愛子・川上詩朗・吉澤文寿・太田修・加藤桂木・殿平善彦・本庄十喜・愼蒼宇・佐藤広美・加藤直樹・原田敬一著/新日本出版社)
- つくられる「嫌韓」世論 憎悪を生み出す言論を読み解く(村山俊夫著/明石書店)