『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団』(プレイステーション2)の設定資料集によると、「葛葉一族(ライドウも含む)の使命は人を守ることである」らしいが、その設定とゲーム内容が一致していないことがどうも気になっている。
ライドウが所属している組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス)は、明らかに「天皇と国体(天皇制国家)保持を目的とした組織」である。それなのに、「人を守ることが使命」の葛葉の者がここに所属しているのはおかしい。「天皇と国体を護る」とは、言い換えると「天皇と国体に逆らう者は殺してもいい」ということだからだ。「天皇にまつろわぬ者は殺す」ことを良しとするのであれば、たとえ「葛葉の使命」で本来は守らなければならない「臣民」(「天皇の赤子」。今の日本で言えば「日本の国民」)であっても、「天皇制反対と主張する者」であればためらわずに殺すのだろう。これは怖ろしいことだし、さらに大いなる矛盾が生じるのだが…。
そして、このゲームでは描かれないが「日本はアジア圏を植民地としていた」歴史があり、ちょうどこのゲームの時代である「1931年」もそうである。植民地とされた国で、その国の人が日本人によってどんな酷い目に遭わされたかを知ると、「アジア圏で虐げられている人たちを、葛葉の者は救わないのか」と疑問に思う。しかもその植民地支配は「天皇の名の下に(「八紘一宇」達成のために)」行われたわけで、天皇を護るヤタガラスもそれに加担していることになるが、ゲーム上では描かれることは無い。
参考文献
- デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 超公式ふぁんぶっく(ファミ通編集部責任編集/エンターブレイン)
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