はてな匿名ダイアリーの過去エントリー(2018年)より。
いわゆる「大正ロマンもの」は日本ではそれなりに人気のあるコンテンツであり、私も好きなものだ(昭和レトロも好き)。ただこれは韓国や中国では嫌われる傾向がある。それは無理も無いことで、「日本が侵略戦争や植民地支配を繰り返していた時代を美化して欲しくない」ということだろう。
私は「大正ロマンが流行ろうと炎上しようとそれはご自由に。様々な意見が出てきてこそ健全な社会だ」というスタンスを取る。大正ロマンが韓国で炎上するたびにやたらと「だから韓国人は…」、「韓国とは断絶しよう」などと言っている嫌韓のネット右翼どもは本当にバカだなぁ(笑)、としか思っていない。ただし、大正ロマンの背景にある「日本の侵略戦争、植民地支配、在日朝鮮人差別、特高による取り締まりや拷問、『不敬罪』による市民弾圧、女性差別」などの暗黒面はちゃんと知っておいて欲しいと願っている。大正ロマンとはあくまで「大正時代の一部を切り取ったものに過ぎない」と割り切って楽しむべきもの。
だが他方で、「日本の侵略戦争美化」、「植民地支配美化」、「天皇崇拝称賛」だけは絶対に認められない。これはもう「様々な意見」以前の問題で、日本の侵略戦争と植民地支配と「戦争責任者である天皇を崇拝するように政府が強要したこと」は、今では完全に「悪かったこと」と決まっているのだから。天皇好きで嫌韓で歴史修正(改竄)主義者の右翼どもは、それを「悪かったこと」とは絶対に認めたがらないがね…。
大正ロマンムード溢れる(と言っても史実では昭和初期だが)『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. the Soulless Army)』(プレイステーション2)で問題なのは、何度も言うように「天皇崇拝称賛」要素を含むことだ。それは第七話を見れば分かる。
何度も書くが第七話は「大正天皇としか思えない『重要な人物』が敵の策略で危機に陥ったので、命がけで救うように『超國家機関ヤタガラス』(味方の組織。国家神道がモデル。以下ヤタガラス)に命じられる」話であり、逆らうことは出来ない。これを見ればこのゲームは「天皇家と天皇崇拝を称賛している」としか思えないではないか? 製作者にはそんな意図は無いのかも知れないが、反天皇制の者が見ればそのようにしか映らない。
そして天皇家と天皇崇拝を称賛するのは、同時に「天皇の名の下に行われる侵略戦争・植民地支配も称賛している」ことになる。ゲーム上では戦争と植民地支配を称賛するようなセリフは出てこないにせよ(そもそも植民地支配については全く触れられていない)、結局は同じことだ。ヤタガラスを倒しに行くことは出来ないわけだし。
私は重度のメガテニストであり、大正ロマンものが好きで、ライドウのことも大好きだが、このゲームの復活を決して望まないのは、単に「大正ロマンものは問題だから」では無く、「天皇家・天皇崇拝称賛要素を含んでおり、結果として日本の侵略戦争と植民地支配を美化している」からである。