以前の記事で『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs.the Soulless Army)』(プレイステーション2)では、味方である天皇守護組織「超國家機関ヤタガラス」(以下ヤタガラス)に対する批判が弱すぎる、といったことを書いた。こちらを参照。
kirishimaloda6915.hatenablog.com
もう少し追加すると、このゲームではヤタガラスの描き方が中途半端過ぎるのだ。
ヤタガラスは味方であるにもかかわらず胡散臭くて、実は「大正天皇を救うためならライドウの命など軽く見ている」という怖ろしい組織であり、むしろ敵としか思えない。ゲーム上では特別にヤタガラスを称賛こそしてはいないが(とはいえ天皇を救った後、味方の川野定吉は「よくやってくれた」などと絶賛しているが)、徹底的にこき下ろし批判するような場面も存在しない(敵キャラはヤタガラスを批判するものの、批判としては弱い)。そしてヤタガラスを滅ぼすような展開も無い。これでは「天皇を救うことは素晴らしい」と言っているのと実質的には同じことだ。
この内容では、たとえ製作者のそのような意図は無かったとしても、「これは天皇万歳ゲームか」と思われてしまうわけよ。そんなゲームだと思われたくなければ、ヤタガラスは敵でなければならない。製作者はそのあたりを理解していないとしか思えないのだが。単に右翼からの抗議を怖れただけとも言える。