『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs.the Soulless Army)』(プレイステーション2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)は「ぶっ飛んだバカゲー」というよりは「禍々しくて不気味で、天皇ファンタジー満載の右翼(笑)ゲーム」だと思う…、ぶっ飛んでいるのは『シャイニングフォース・神々の遺産』(セガ。メガドライブ。以下『神々の遺産』)の方だ…、といったことは以前書いた。もう少し書きたいことがあったので続ける。
『神々の遺産』の評で時々「メロドラマ的なストーリーのS・RPG」といったものがあるが、確かにそれは間違ってはいないのだけど…。製作者も「子ども向けの話のRPGに飽きた」大人向けにそれを狙って作ったという節はある。ただ、私はこれを「暗くて悲しいゲーム」だとは思わない。シナリオ自体は確かに悲壮感があるものの、ゲーム全体はむしろカラッとしている印象である。それはメガドライブ特有のグラフィックの明るさや、海外アニメ風のキャラデザ、面白いイベントやセリフがたくさんあることなどが影響しているのだろう。ただしリメイク版(ゲームボーイアドバンス)は悲壮感ばかりが目立っているので、ちっとも面白くないのだが(笑)。
他方で『超力兵団(Soulless Army)』の方は、製作者としては「おバカな特撮映画のノリで作った」のだろうけども、私の印象ではバカっぽさよりも気味の悪さ、陰惨さと陰険さ、右翼っぽさばかりが目立っている。これはストーリーだけでは無く、グラフィックやムービーの質も影響している。何しろ他のメガテンよりも余計にグロテスクなので…。
この二作に共通するのは、「製作者の狙いと実際のゲームの印象に差がある」という点であろうと思う。『超力兵団(Soulless Army)』は「バカっぽさを狙った」のに「陰惨さと右翼っぽさばかりが目立つ」ゲームだ。一方『神々の遺産』は「大人向けのメロドラマ風にしたかった」のだろうけど、それよりも「面白いイベントやセリフ、明るいグラフィックの方が目立つ」ゲームである。