『メガテン』シリーズの世界観は「八百万の神や、悪魔、妖怪といった者たちが実在する」ものである。これはよく知られているだろう。
その『メガテン』シリーズの中で『デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団(Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs.the Soulless Army)』(PS2。以下『超力兵団(Soulless Army)』)は「大正時代(正確には昭和初期)」を舞台としているのが特色であるが、『メガテン』シリーズでこの世界観を使うのは危ういものだと主張しておきたい。
明治時代から昭和の敗戦までの間、大日本帝国は「日本は現人神・天皇を中心とした神の国」などと思い込み、「神の国なのだからアジアを侵略して統一していいのだ」という妄想に憑りつかれ、アジア侵略を繰り返した。
この「日本は神の国」というのは、現実では単なる妄想であるが、『超力兵団(Soulless Army)』の世界観では「八百万の神が実在する」ことになるので、真実味を帯びてしまう。つまり「このゲームは、日本が神の国だという妄想を現実にしたいから作ったのか? 侵略戦争を正当化するために?」と思う人も出てくるのだ。
恐らくはアトラスもその辺は把握していて、『ライドウ』シリーズは封印しているのかも知れないのだけど…。私としてはそうあって欲しい。